建設分野における外国人材の受け入れ

建設分野における外国人材の受け入れ

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新型コロナの影響で外国人が日本に入ってこれなくなっていますが、この状況から脱却しようとする動きがここ最近出てきています。日本は人口減少により色々な分野において就労人口が減少しています。その中で2019年度より外国人の在留資格に「特定技能」制度が開始し、特定産業分野(14分野)において相当程度の知識や経験を持っている外国人の採用が始まりました。令和3年9月末時点で、特定技能による在留者は、3万8、337人となっています。

 現在、建設業界において課題となっているのは、建設技能者の高齢化の問題であります。

年齢階層別の建設技能者者数において、全体の約4分の1が60歳以上となり10年後にはその大半が引退するということです。そして一方、29歳以下の割合は全体の約1割しかおらず、若年層の確保や育成が喫緊の課題となっており、建設業の担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上を一体として進める必要があります。

<年齢階層別の建設技能者数>

 (グラフは国交省資料より引用)

 日本の建築施設は老朽化が激しく、補強・リニューアル工事の必要性が非常に大きくなってきています。建設業は、どの時代においても日本に必要な絶対に消滅しない産業であるのです。しかし、そのような中、上記のように、実際現場で働く建設技能者の4分の1が60歳以上で、若年層が非常に少ないという現状を踏まえて、早急に建設現場での働き手を補給しなければなりません。そして、初めに申し上げました「特定技能」による外国人材が日本の建設業を救う大きな存在であることは間違いありません。この特定技能の制度は2019年10月から実施され「特定技能1号」と「特定技能2号」があります。

特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向け在留資格

◆特定産業分野(14分野):介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業(特定技能2号は「建設」と「造船・船用工業」のみ受入れ可)

(国土交通省HPより引用)

 上記の国土交通省のHPの表より分かることは、2021年現在において建設分野における外国人数はおよそ11万人であり、そのうち7万人が技能実習生で、特定技能の在留資格者は4900人ほどしかいないということです。新型コロナの発生がありましたので仕方ない数字かもしれませんが、アフターコロナの時代には、是非いろいろな国から日本の建設業を支える人材をたくさん迎えたいものです。

 現在1号特定技能外国人で最も多い国は、「ベトナム人」です。ベトナム人が3500人と2番目のフィリピン450人を大きく上回っています。なぜこの様な大きな差があるのかの原因をしっかりと分析して対処していく必要があるように思います。

 この様に、建設分野における現在および将来的な技能者不足は明白であります。特定技能の他の13業種でも同じであろうと思います。この原因は、日本の少子高齢化が大きなものであることは確かなのですが、14業種の業務自体や職場環境、処遇といったものが、現代の若者の就労意欲を向かわせないということでしょう。この傾向は、おそらくこれから以降も変わらないと考えるのが普通であります。そして、この部分の従事者を増やすためには、外国人労働力しかないのは明らかであるのです。政府も将来の日本の人口動態を考えた上で特定技能という在留資格を新たに作りました。よって、「特定技能」制度をしっかりと働かせていき、特定技能外国人がどんどん日本で働いてもらうようにしなければなりません。そのために外国人が安心して日本に来て働けるように環境を整えて行かなければなりません。

 そして、この建設分野における特定技能を大きく伸ばしていく担い手のひとりとして我々行政書士がいます。行政書士は、建設業許可申請をはじめいろいろな場面で建設業者のサポートを行っておりますし、外国人の在留資格については入管の申請取次業務を行っており外国人との接触機会も多くあります。何より建設業許可と入管業務は正に行政書士の一丁目一番地の業務なのです。ゆえに、建設分野の特定技能者を増やしていくために大いにその技量や経験を発揮して活躍していかなければならないと思います。責任重大であります。日本の建設業の将来の行く末のために、そして日本の建設インフラを再構築し、我々の安心・安全な生活のためにも大いに気張らなければならないのです。その気概を持って私もこの仕事をやって行こうと褌を締め直すのです。